結論から言うと、傷病手当金は要件を満たさない期間について不支給となるほか、支給決定後に実際の状況と異なることが判明した場合は返還を求められることがあります。代表的なのは、業務上・通勤災害によるけがや病気、労務不能と認められない期間、給与の全額支払いを受けている期間です。
不支給になる主なケース
全国健康保険協会(協会けんぽ)は、支給対象の要件として「業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外です」と説明しています。仕事中や通勤中のけが・病気は労災保険の休業補償給付の対象であり、傷病手当金と労災保険を二重に受け取ることはできません。
出典: 全国健康保険協会 傷病手当金|給付と手続き労務不能と認められない場合も不支給です。仕事に就くことができない状態かどうかは、療養担当者の意見等をもとに、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されるため、診断書の内容と実際の業務内容が食い違っていると、不支給と判断されることがあります。休業した期間について給与の全額支払いを受けている場合(有給休暇の消化を含む)も、その期間は傷病手当金が支給されません。傷病手当金と有給休暇は同時に受け取ることはできず、給与の一部のみが支払われている場合は、差額が支給されることがあります。
不支給の決定に納得できない場合
不支給の決定内容に納得できない場合は、いきなり泣き寝入りする必要はありません。健康保険法第189条は「被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる」と定めています。傷病手当金の不支給決定もこの「保険給付に関する処分」に含まれるため、不服がある場合は審査請求という手段が用意されています。
出典: e-Gov法令検索 健康保険法(第189条「審査請求及び再審査請求」)返還を求められることがあるケース
支給決定後に、実際には労務不能でなかったことが判明した場合や、届出内容に誤りがあった場合、他の給付との調整により過払いが生じていた場合等には、既に支給された傷病手当金の返還を求められることがあるとされています。不正受給が発覚した場合は、返還に加えて追加の徴収が行われることもあります。心当たりがある場合や判断に迷う場合は、早めに協会けんぽ支部やご加入の健康保険組合に相談することをおすすめします。
まとめ
要件を満たすかどうかも含めて確認したい方は、傷病手当金シミュレーターで支給見込み額を試算できます。
本計算は参考情報です。実際の支給額は標準報酬月額の等級区分・給与の支払い状況・休業期間の実績等により、全国健康保険協会(協会けんぽ)またはご加入の健康保険組合の決定額と異なる場合があります。健康保険組合によっては、法定給付に上乗せする独自の付加給付制度があり、実際の受給額が本計算より高くなる場合があります。国民健康保険の加入者は原則として傷病手当金の対象外です(自治体の条例による任意給付を除く)。最新の制度内容は全国健康保険協会・ご加入の健康保険組合にご確認ください。