傷病手当金だけでは生活費が足りず、少しだけでもアルバイトや副業をしてよいのか気になる人もいるはずです。結論としては、傷病手当金の受給中にアルバイトや副業として働いた場合、労務不能でないと判断され、傷病手当金が支給されなくなったり、返還を求められたりする可能性があるとされています。この記事ではその考え方と注意点を解説します。
「労務不能」は本来の職務を基準に判断される
傷病手当金の支給要件のひとつに「仕事に就くことができないこと(労務不能)」があります。労務不能かどうかは、一般的には、休業の原因となった傷病について、その人の従前の職務内容などを基準として、医師の意見や実際の療養状況を踏まえて判断されるとされています。休んでいる本来の仕事には就けない状態であっても、それとは別のアルバイトや副業として働くことができる状態であれば、労務不能の要件を満たしていないと判断される可能性があります。
出典: 全国健康保険協会 傷病手当金|給付と手続き副業をすると支給が止まる・返還を求められることがある
傷病手当金の受給中にアルバイトや副業をしていたことが分かった場合、その事実は労務不能でないことを示す事情として扱われ、該当する期間の傷病手当金が支給されなくなったり、既に支給された分の返還を求められたりする可能性があるとされています。収入を得られる程度に回復しているのであれば、労務不能の状態ではないと判断されるのが基本的な考え方です。生活費の不足を副業で補うことを考える前に、まずは加入している協会けんぽ・健康保険組合に相談することをおすすめします。
判断は個別の事情によって異なる
ごく短時間・軽微な作業がどこまで問題になるかは、療養中の症状や本来の職務内容によっても異なり、一律の基準があるわけではないとされています。自己判断でアルバイトや副業を始めてしまうと、後から傷病手当金の支給が取り消される、あるいは返還を求められるといった不利益を受けるおそれがあります。副業を検討する場合は、事前に主治医に相談して労務不能の状態にあるかどうかを確認するとともに、加入している健康保険にも相談しておくことが重要です。
傷病手当金の支給額の基本
傷病手当金は、連続する3日間の待期期間の後、4日目以降の休業について標準報酬日額の2/3が支給されます。
1日あたりの支給額 = 標準報酬日額(標準報酬月額の平均 ÷ 30) × 2/3
標準報酬月額の平均が17万円の場合、標準報酬日額は5,670円、1日あたりの支給額は3,780円になります。副業による収入を得る前に、労務不能の状態を維持できるかどうかを優先して考える必要があります。
まとめ
副業を始める前に支給見込み額を知りたい方は、傷病手当金シミュレーターで、待期期間を含めて試算できます。
本計算は参考情報です。実際の支給額は標準報酬月額の等級区分・給与の支払い状況・休業期間の実績等により、全国健康保険協会(協会けんぽ)またはご加入の健康保険組合の決定額と異なる場合があります。健康保険組合によっては、法定給付に上乗せする独自の付加給付制度があり、実際の受給額が本計算より高くなる場合があります。国民健康保険の加入者は原則として傷病手当金の対象外です(自治体の条例による任意給付を除く)。最新の制度内容は全国健康保険協会・ご加入の健康保険組合にご確認ください。