結論から言うと、有給休暇を消化している期間は給与が支払われるため、その期間について傷病手当金は支給されません。傷病手当金と有給休暇は同時に受け取れる制度ではなく、どちらか一方が成立する仕組みです。この記事では、なぜ両者を同時に使えないのか、休業時によくある使う順序の考え方を解説します。
給与の支払いがある期間は傷病手当金の対象外
傷病手当金の支給要件のひとつに「休業した期間について給与の支払いがないこと」があります。有給休暇を取得した日は、労働していなくても給与が満額支払われるため、この要件を満たしません。つまり、有給休暇消化中の日について、傷病手当金を上乗せして受け取ることはできないということです。なお、給与の一部のみが支払われている場合は、傷病手当金の額との差額が支給されることがあります。
出典: 全国健康保険協会 傷病手当金|給付と手続きよくある順序は「有給休暇を使い切ってから」
多くの場合、療養のため休み始めた当初は有給休暇を使い、有給休暇が無くなった後の無給の欠勤期間について傷病手当金を申請するという順序になります。有給休暇の取得は労働者の権利であり、必ず先に使わなければならないという法律上の義務があるわけではないため、最初から有給休暇を使わずに無給の欠勤として休み、傷病手当金の対象にすることも可能です。どちらの順序で休むかは、本人の意向や会社の休職規定によって異なります。
待期3日間は有給休暇の日を含めて考えられる場合がある
傷病手当金には、連続する3日間の待期期間が必要という要件があります。この待期期間には、有給休暇を取得した日や会社の公休日(土日祝日等)を含めて数えられる場合があるとされています。ただし、待期期間に含められるとしても、その3日間について傷病手当金が支給されるわけではない点に注意してください。待期期間の数え方の詳細は、実際の休業状況に応じて加入している協会けんぽ・健康保険組合に確認することをおすすめします。
支給額の考え方(参考)
傷病手当金が支給される場合の1日あたりの金額は、次の式で計算します。
1日あたりの支給額 = 標準報酬日額(標準報酬月額の平均 ÷ 30) × 2/3
たとえば標準報酬月額の平均が17万円の場合、標準報酬日額は5,670円、1日あたりの支給額は3,780円になります。待期3日間の完成後、4日目以降の無給の休業日についてこの金額が支給されます。加入している健康保険が健康保険組合の場合、法定給付に独自の付加給付を上乗せしている組合もあり、実際の受給額は本記事の計算額より高くなることがあります。
出典: 全国健康保険協会 傷病手当金|給付と手続きまとめ
有給休暇を使わずに休んだ場合の支給見込み額を知りたい方は、傷病手当金シミュレーターで、待期期間を含めて試算できます。
本計算は参考情報です。実際の支給額は標準報酬月額の等級区分・給与の支払い状況・休業期間の実績等により、全国健康保険協会(協会けんぽ)またはご加入の健康保険組合の決定額と異なる場合があります。健康保険組合によっては、法定給付に上乗せする独自の付加給付制度があり、実際の受給額が本計算より高くなる場合があります。国民健康保険の加入者は原則として傷病手当金の対象外です(自治体の条例による任意給付を除く)。最新の制度内容は全国健康保険協会・ご加入の健康保険組合にご確認ください。