結論から言うと、退職して健康保険の被保険者資格を失っても、一定の要件を満たせば、退職後も引き続き傷病手当金を受け取ることができます。これを「資格喪失後の継続給付」と呼びます。この記事ではその要件を、協会けんぽの公表情報から正確に解説します。
継続給付を受けるための2つの要件
継続給付を受けるには、次の2つの要件をどちらも満たす必要があります。1つ目は、資格喪失日の前日(退職日等)までに、被保険者期間が継続して1年以上あることです。ここでいう被保険者期間には、任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者、または国民健康保険に加入していた期間は含まれません。2つ目は、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(労務不能・待期完成済み等の要件を満たしている状態)にあることです。
出典: 全国健康保険協会 傷病手当金|給付と手続き一度就労可能になると継続給付は終了する
継続給付には重要な注意点があります。退職後の継続給付を受けている途中で、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。つまり、退職後に同じ傷病で症状が悪化しても、一度でも労務可能な状態に回復していれば、継続給付は再開されないということです。退職のタイミングと療養の見通しは慎重に検討する必要があります。
支給額・支給期間の考え方は在職中と同じ
継続給付を受けられる場合、支給額の計算方法や支給期間の考え方は在職中と変わりません。1日あたりの支給額は標準報酬日額(標準報酬月額の平均÷30)の2/3で、連続する3日間の待期期間が既に完成していることが前提になります。支給期間は、在職中の支給開始日から通算して1年6か月です。退職によって支給期間がリセットされるわけではない点に注意してください。
健康保険組合の付加給付は対象外になる場合がある
在職中は健康保険組合の付加給付を受けられていた場合でも、退職後の継続給付では付加給付が対象外(法定給付のみ)となる組合が多いとされています。付加給付の扱いは組合ごとに異なるため、退職を検討する際は、加入している健康保険組合に事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
在職中の支給見込み額を先に確認したい方は、傷病手当金シミュレーターで試算できます。
本計算は参考情報です。実際の支給額は標準報酬月額の等級区分・給与の支払い状況・休業期間の実績等により、全国健康保険協会(協会けんぽ)またはご加入の健康保険組合の決定額と異なる場合があります。健康保険組合によっては、法定給付に上乗せする独自の付加給付制度があり、実際の受給額が本計算より高くなる場合があります。国民健康保険の加入者は原則として傷病手当金の対象外です(自治体の条例による任意給付を除く)。最新の制度内容は全国健康保険協会・ご加入の健康保険組合にご確認ください。